エレクトーンと奏でるフルートと協奏曲の夕べ

豊かな可能性を拓く新機軸のコンサート

 フルートとエレクトーン。ありそうで、なかなかお目にかからない共演かもしれない。しかも、フルートは日本を代表するフルーティスト・工藤重典で、エレクトーンは洗足学園音楽大学電子オルガンコース教授を務める赤塚博美が担当する。このふたりは初顔合わせということだ。
 さて、そのコンサートの曲目だが、モーツァルト「フルートと管弦楽のためのアンダンテ」、J.S.バッハ「管弦楽組曲第2番からバディネリ、ポロネーズ」、ビゼー「『アルルの女』第2組曲よりメヌエット」、マスネ「タイスの瞑想曲」、そしてドップラー「ハンガリー田園幻想曲」、後半にはサン=サーンス「ロマンス」とイベール「フルート協奏曲」が並ぶ。いつもの工藤のコンサートらしい、豪華なラインナップである。そして、フルートとピアノのための作品ではなく、フルートとオーケストラのための作品が並んでいる。
 つまりエレクトーンがオーケストラの代わりをするということになるのだが、エレクトーンの可能性はオーケストラの編曲だけには終わらない。もっとエレクトーンらしい個性的な音の世界があり、それがどのように表現されるかが、楽しみである。そこに工藤のフルートが加わることにより、通常のオーケストラ付きフルート曲という枠を超えた、新しい音の世界に出会える可能性が膨らむ。フルートの名曲が、どんな新しい表情を見せるのか、それを楽しめるコンサートになりそうだ。
文:片桐卓也
(ぶらあぼ2017年10月号より)

2017.11/2(木)19:00 ヤマハホール
問:ヤマハ音楽振興会 コンサート企画グループ03-5773-0820
http://www.yamahaginza.com/hall/