LEO(箏)

邦楽界の若きスターがジャンルを超えて新風を巻き起こす!


 横浜インターナショナルスクールの音楽の授業(邦楽プログラム)で箏と初めて出会った9歳の少年が10年後、今や邦楽界の期待の新星に。
「指導を受けたカーティス・パターソン先生も、シカゴ出身で箏に魅せられて沢井箏曲院の門を叩いたというユニークな経歴の持ち主なので、自分も“日本の伝統楽器”という変に堅苦しいイメージを持つことなく楽しく始めることができました。先輩が演奏する(沢井)忠夫先生の曲を聴いてカッコいいなと思ってコンクールを受け始めて、14歳でグランプリを受賞した頃から本気でプロの演奏家を目指したいと思うようになりました」
 話題のデビュー・アルバム『LEO 玲央1st』も先ず、現代箏曲の巨匠・沢井忠夫による「讃歌」で幕を開ける。演奏時間10分を超える大曲だ。
「難曲ではありますが、ご自身も箏奏者なので、楽器のことを知り尽くして書かれているのが弾いていてとてもよく分かるんです。日本固有の音階を使っていないのに、どこか古典の匂いもするし、それでいてとてもモダン」
 和と洋の楽器によるセッション(キーボードにミッキー吉野も参加!)で、箏によるアドリブも意外にキマる「テイク・ファイブ」を楽しんだ後は、尺八の第一人者・藤原道山との豪華共演で、近代箏曲のパイオニア・宮城道雄の書いた「春の海」を堪能。
「にっぽんのお正月に欠かせないあまりにも有名な曲ですが、全体を通して聴くと新たな魅力を感じてもらえるはず。道山さんは全力でぶつかっていかないと敵わない凄い奏者なので、いろいろと助言もいただき本当に勉強になりました」
 若手箏奏者から絶大な支持を集める作品の宝庫、沢井比河流が約25年前に書いたロックのテイストを持つ「斜影」に新たな生命を吹き込み、再び沢井忠夫の大曲「百花譜」に。ここでは十七絃箏のマクイーン時田深山との合奏も聴きどころ。
「宮城道雄先生が考案した十七絃箏は、通常の箏(13絃)をヴァイオリンに例えるなら、チェロに相当する楽器。絃が太くて演奏するには体力が必要ですが、力強くて余韻の長い低音に魅せられます。アルバムの最後はこの楽器の特性を活かした楽曲で飾りたくて、自分で『さくらさくら』をアレンジして入れました」
 今年の4月に東京芸術大学に入学したばかり、昨年邦楽科に新設された「現代箏曲」の分野で研鑽を積んでいる。
「現代曲だけでなく古典もしっかり学んだ上で、箏曲の新しい世界を切り拓いて行きたい!」
 8月にはCD発売記念ライヴも開催。収録曲に加えて、邦楽の後輩たちとのアンサンブルなども予定しているとか。こちらも楽しみだ。
取材・文:東端哲也
(ぶらあぼ2017年8月号より)

2017.8/17(木)19:00 MUSICASA
問:日本コロムビア03-6895-9001
http://leokonno.com/

CD『LEO 玲央1st』
日本コロムビア
COCJ-39898
¥2000+税