ジャン・ワン(チェロ) & 小山実稚恵(ピアノ)

日中を代表する奏者のデュオが実現!

 10代のころから神童として世界の檜舞台で演奏活動を開始し、以来トップ・チェリストとして第一線で活躍し続けているジャン・ワン。早くから世界的巨匠たちと組んだCDも数多くリリースされ、その実力は広く知られているところ。現在40代後半で、巨匠への道を歩み続ける彼が、この7月、ピアノの小山実稚恵とデュオ・リサイタルを開催する。円熟の境地ともいうべき演奏を聴かせ続けている小山とワン、日中の代表的奏者による共演ということで注目を集めている。
 そしてこの公演、プログラムがなかなかすごい。古典チェロ音楽の金字塔であるベートーヴェンの第3番、ブラームスの仄暗い哀感が凝縮された第1番、ロシアの情熱と旋律美にあふれたラフマニノフの大作。いずれも「これぞチェロ・ソナタの代表作」と称えられるような重量級ソナタが3曲並ぶわけで、その意気込みは推して知るべし。チェロという楽器の真髄を、ワンの名技が存分に知らしめてくれるだろう。また、ピアノにとっても、チェロに匹敵する重要な役割と難度が要求される曲ばかりで、小山はまさに理想的な奏者だ。しかもラフマニノフは、彼女が特別な思いで取り組み続けている作曲家であり、今回は世界最高クラスのチェリストを得て「小山のラフマニノフ」を体験できるという観点からも期待されよう。
 このふたりならば、火花散るスリリングな展開も、心震わせる深い感動も、あらゆる表現が可能であり、予想がつかない。稀有にして必聴の一夜となる。
文:林 昌英
(ぶらあぼ2017年7月号より)

2017.7/13(木)19:00 紀尾井ホール
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