中村恵理(ソプラノ)

世界が注目する日本人ソプラノによる名曲リサイタル

C)Chris Gloag

 文字通り世界で活躍する日本人ソプラノ、中村恵理。南米チリのサンティアゴ国立歌劇場で歌ったミミ《ラ・ボエーム》も英『OPERA』誌で絶賛され、久々の新国立劇場での《フィガロの結婚》のスザンナが凱旋公演となるなど、大車輪の活躍ぶり。この8月には、よこすか芸術劇場でリサイタルを開催する。プログラムの狙いをまずは教えてもらおう。
「横須賀の街で歌わせていただけるので、“海”にちなんだ日本歌曲から始めようと思いました。〈浜辺の歌〉は勿論ですが、小林秀雄さんの〈瞳〉も素敵な曲ですよ。“あなたの瞳は海の三面鏡”という歌い出しが爽やかです。次にイタリアのベッリーニの歌曲。〈マリンコニーア〉〈私の偶像よ〉など、音楽大学の学生なら必ずといっていいほど歌う曲ですが、仕上げるのがそれは難しいメロディばかり。気持ちも新たに取り組みたいです」
 続いてはオペラ・アリア。コロラトゥーラのフランスものから劇的なイタリア・オペラまで、多彩な選曲が目を惹くものになっている。
「オペラは初めてとおっしゃる方でも、題名は恐らくご存知であろう名作から聴きどころを集めました。グノーの《ロメオとジュリエット》のワルツは声の技を聴いていただく一曲です。ジュリエットはこれまで二度演じていますが、声の響きが少し重くなってきたので、ここで改めて歌ってみたいのです。モーツァルトの《コジ・ファン・トゥッテ》の大アリアでは低音域も響かせますし、ヴェルディの《椿姫》では終幕の〈さようなら、過ぎ去った日々よ〉を歌って、高級娼婦ヴィオレッタの悲しみを掘り下げたいです。5月の宮崎国際音楽祭で《椿姫》全曲を初めて歌う機会もあり、このアリアの解釈もより深まればと願っています。《カルメン》のミカエラのアリアも歌います。ミカエラは清楚なイメージですが、歌ってみると結構難しい曲なのです。カルメンの妖しさに対して、田舎娘のコンプレックスが出るあたりなど興味深いですね」
 締め括りにはプッチーニの2大名曲を。
「魔性の少女マノンのキャラクターに惹かれて《マノン・レスコー》の第2幕のアリア。それから、《蝶々夫人》の〈ある晴れた日に〉を選びました。蝶々さんのアリアは、今の私には一番ドラマティックな曲ですが、この前『題名のない音楽会』で歌わせていただき、オーケストラと息遣いを合わせるポイントなどたくさん学びました。今回のステージはピアノ伴奏(木下志寿子)ですが、劇場の隅々まで声を届けられるよう頑張ります!」
取材・文:岸 純信(オペラ研究家)
(ぶらあぼ 2017年7月号から)

横須賀芸術劇場リサイタル・シリーズ50 中村恵理 ソプラノ・リサイタル
8/11(金・祝)15:00 よこすか芸術劇場
問:横須賀芸術劇場046-823-9999
http://www.yokosuka-arts.or.jp/