幸田浩子 ソプラノリサイタル ―紡ぐ、音、時、人― ビルボードクラシックス 〜ギタリスト村治佳織を迎えて〜

歌とギターの麗しき共演


 オペラにコンサートに、またTVの音楽トーク番組の司会にと、引っ張りだこの人気ソプラノ幸田浩子。「紡ぐ、音、時、人」というテーマが添えられた6月の公演は、実に2年ぶりのリサイタルというから、それだけでも貴重なのだが、人気のギタリスト村治佳織を迎えての開催とくれば、期待感はさらに高まる。このところ一段と深みをみせている村治だけに、彼女のファンにとっても嬉しいところだろう。
 現時点で発表されているプログラムによれば、2人の共演は3曲。まずはリュート曲やカンタータとともに、いわば「ミニ・バッハ・プログラム」を形作る格好の、バッハ(グノー編)の〈アヴェ・マリア〉。ヘンリー・マンシーニの〈ムーン・リバー〉も美女2人の演奏では格別だろう。圧倒的に可愛い『ティファニーで朝食を』のオードリーにも、この2人なら負けていない。そして『サウンド・オブ・ミュージック』のメドレー。亡くなったばかりの母に捧げた2年前の幸田のアルバム『スマイル―母を想う―』にも収録されているナンバーだ。当時、本誌の取材に応えて、母親の病気が見つかったあと、海外旅行ができるうちにとザルツブルクのロケ地ツアーに出かけたこと。母親が最後に聴いてくれたステージがこの曲を歌う映画音楽コンサートだったことなど、思い出を語りながらこぼした彼女の涙が忘れられない…。
 ほかにもそれぞれのソロ曲が加わり、バロックと映画音楽を軸にした構成になる模様。当日は藤満健(ピアノ)も共演。これは聴かないと! と思うのは誰しも同じ。
文:宮本 明
(ぶらあぼ 2017年6月号から)

6/25(日)14:00 紀尾井ホール
問 パシフィック・コンサート・マネジメント03-3552-3831 
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