東京オペラシティ B→C 宮本 弦(トランペット)

バロックと現代の多様な交錯

 6月の東京オペラシティ『B→C』は、バロックと現代のみの真っ向勝負。同シリーズとしては意外に珍しい。主役はトランペットの宮本弦。1986年広島県生まれの彼は、日本音楽コンクール第2位ほか受賞歴も多く、東京音楽大学卒業後の2010年から名古屋フィルの首席奏者を務めている。ハイドン、フンメルの協奏曲を広響や名フィルと共演するなど実績も十分。東京での初リサイタル(広島でも公演)に大きな期待がかかる。ピアノは下田望。
 演目も凝ったもの。バロックでは、バッハとヘンデルの作品で、曲想に応じた発音の違いを披露し、二人と同年生まれのD.スカルラッティの主題によるM.ビッチの変奏曲(1950)でも共通性や違いを聴かせる。現代曲では、同郷の細川俊夫「霧のなかで」(2015)が、尾高賞受賞作のピアノ伴奏版である点や、管を直接口にくわえて声を出しながら吹く特殊奏法を用いる点で興味深いし、同級生でジュネーヴ国際音楽コンクール優勝の薮田翔一による委嘱新作も楽しみだ。正確なテクニックと柔らかな音色をもつ名手が、数種類の楽器を用いて行う渾身のステージに、ご注目あれ!
文:柴田克彦
(ぶらあぼ 2017年6月号から)

6/17(土)14:00 東広島芸術文化ホール くらら(小)
問:くららチケットセンター082-426-5990
http://kurara-hall.jp/
6/20(火)19:00 東京オペラシティ リサイタルホール
問:東京オペラシティチケットセンター03-5353-9999
http://www.operacity.jp/