東京文化会館《響の森》vol.40 コバケン 真夏のシンフォニー

マエストロ渾身の熱き響き

小林研一郎 C)満田 聡
 「暑い時には熱いものがいい」という言葉を、音楽で実現してしまう——そんな公演が、夏真っ盛りの8月開催の「東京文化会館《響の森》」である。指揮は小林研一郎で、熱い指揮ぶりと燃える演奏で知られる彼の異名は「炎のコバケン」。演目はベートーヴェンの「エグモント」序曲と交響曲第5番「運命」、ドヴォルザークの交響曲第8番。いっさい涼をとらず、容赦なく熱い曲の代表作がならぶのがいい。そして、この公演タイトルは「コバケン 真夏のシンフォニー」。その公演名に違わず、どれをとっても灼熱の要素満点。
 …と、“熱”ばかりを強調してきたが、近年の小林の表現は熱気のなかに味わい、円熟味が増していて、この公演も懐深く厚みのある演奏で作品の真価を伝えてくれるはず。この会場を本拠とする東京都交響楽団も、指揮者の意図を十全に汲み取った演奏に長けており、最良の意味での“熱演”が期待できる。8月こそ熱い演奏を浴びて夏バテも吹き飛ばしたい。水分補給は忘れずに。
文:林 昌英
(ぶらあぼ 2017年5月号から)

8/2(水)19:00 東京文化会館
問:東京文化会館チケットサービス03-5685-0650
http://www.t-bunka.jp/