エサ=ペッカ・サロネン(指揮) フィルハーモニア管弦楽団

21世紀の名匠が名門楽団から引き出す鮮烈なサウンド

 エサ=ペッカ・サロネンとフィルハーモニア管弦楽団の名コンビがまもなく来日する。これまでもたびたび名演を聴かせてきてくれた同コンビだが、両者の関係は1983年まで遡る。当時25歳のサロネンはティルソン・トーマスの代役として急遽フィルハーモニア管に抜擢され、マーラーの交響曲第3番でセンセーショナルな成功を収めた。サロネンが国際的な名声を高めた後もオーケストラとの密接な関係は続き、2008年以降は首席指揮者兼アーティスティック・アドバイザーとして同管弦楽団の新時代を切り拓いている。
 今回の来日公演のプログラムには、そんな名コンビの今を知るには最適の曲目が選ばれた。
 東京ではリヒャルト・シュトラウスの交響詩「ドン・ファン」と「ツァラトゥストラはかく語りき」がとりあげられる。オーケストラの機能性や色彩感が最大限に生かされる選曲だ。メンデルスゾーンのヴァイオリン協奏曲では諏訪内晶子の独奏が聴きもの。
 一方、横浜公演はオール・ベートーヴェン・プログラム。交響曲第7番を中心に、サロネンが21世紀にふさわしいベートーヴェン像を描いてくれることだろう。ピアノ協奏曲第3番では、チョ・ソンジンが独奏を務めるのも魅力。ショパン・コンクール優勝者として旋風を巻き起こした新鋭だが、ベートーヴェンは「人生を通じて演奏し続けていきたい作曲家。いつか協奏曲とソナタの全曲ツィクルスに挑みたい」という。サロネンとは初共演。特別な瞬間が訪れるのでは。
文:飯尾洋一
(ぶらあぼ 2017年5月号から)

5/20(土)18:00 東京芸術劇場 コンサートホール
5/21(日)14:00 横浜みなとみらいホール
問:ジャパン・アーツぴあ03-5774-3040
※全国公演の詳細は下記ウェブサイトでご確認ください。
http://www.japanarts.co.jp/