牧阿佐美バレヱ団『飛鳥』が10月、富山で再演!

 牧阿佐美バレヱ団が創立60周年記念して、2016年8月に新国立劇場オペラパレスで世界初演した『飛鳥 ASUKA』が今年10月、富山のオーバード・ホールにて再演される。これに先立ち3月28日、主演のニーナ・アナニアシヴィリ、牧阿佐美バレヱ団主宰の牧阿佐美、オーバード・ホール芸術監督の須藤晃が登壇し、会見が行われた。
(2017.3/28 東京都内 Photo:J.Otsuka/Tokyo MDE)

左より:須藤 晃(オーバード・ホール芸術監督)、ニーナ・アナニアシヴィリ、牧 阿佐美

 『飛鳥 ASUKA』は、日本のバレエの黎明期、多くの創作バレエを発表した舞踊家で、牧阿佐美の母である橘秋子の代表作『飛鳥物語』(振付・台本:橘秋子、音楽:片岡良和、1957年初演)を牧阿佐美が新制作して上演。美術は日本を代表する洋画家・絹谷幸二が担当し、プロジェクション・マッピングを駆使した現代版全幕バレエとなっている。
 物語はいにしえの都、大陸との交流盛んな国際都市・飛鳥。美(芸術)と権威の象徴である龍神を祀る社には舞殿があり、奉納舞を踊る舞女としてすがる乙女が選ばれるが、これは即ち龍神の后となり、二度と地上に戻ることができないことを意味していた。幼なじみの岩足との恋模様、その慕情をとがめる龍神の嫉妬が描かれ、龍と人間とのドラマが繰り広げられる。10月のオーバード・ホールの上演では、すがる乙女をニーナ・アナニアシヴィリが、幼なじみの岩足と龍神は昨年上演時同様、ボリショイ・バレエのプリンシパル、ルスラン・スクヴォルツォフ、牧阿佐美バレヱ団プリンシパルの菊地研がそれぞれ演じる。指揮は福田一雄、演奏はオーケストラ・アンサンブル金沢。
 日本では数少ない三面可動式の舞台機構を有するオーバード・ホール。芸術監督の須藤は、「この作品を東京ではなく富山のオーバード・ホールで上演できることが嬉しい。『飛鳥』は絹谷先生のアートワークを含め、プロジェクション・マッピングを使う等、素晴らしい内容となっている。今回の上演にあたり、プロジェクション・マッピング用の装置を揃えた」と意気込みを語った。

牧 阿佐美

 改訂振付・演出した牧阿佐美は本作について、「母の作品である『飛鳥』をバレエ団のレパートリーとして世に残したかった。様々な国の方が日本に往来していた飛鳥時代を舞台にしたバレエなので、海外のバレエ団で踊られても不思議ではない、そんなレパートリーを創りたかった」と語るとともに、すがる乙女を踊るアナニアシヴィリについては、「ニーナさんに踊っていただけるのは感動。人間的なものを表現をすることが上手な方なので、1幕は人間の美しさを、龍になってからは人間から離れたイメージの踊りを演じてくださると期待している」と述べた。

ニーナ・アナニアシヴィリ

 一方、数々の作品で主演を務め、現在はジョージア国立バレエ団芸術監督のニーナ・アナニアシヴィリは、「日本をテーマとしたスペクタクル物を踊るのは初めて。クラシックの作品を踊ることを期待されていると思うが、35年間、舞台生活を続けているとオリジナリティのある作品にも出演したいという気持ちが湧き、常に新しいものをやりたいという欲求が生まれてくる。共演のスクヴォルツォフとはボリショイ・バレエで共演経験があるが、全幕物を一緒に踊ることは初めて。菊地研さんはとても良いダンサーで、バレエ団全体のレベルも高く、優れたバレエ団だと感じているので楽しみ」と今回の出演について語った。

 また、すがる乙女役については、「神の生け贄として若いきれいな子を捧げるという伝説やおとぎ話はジョージアにもあり、バレエ学校の生徒のためにジョージアの民話をもとにした作品を創ろうと思ったことがある。
 自分を犠牲にして民を救うという行為は、強い意思がなければできない。物語の根底に“愛するという感情”があることも素晴らしい。愛するが故に偉大なことができる。特に芸術家やダンサーにとっても“愛すること”が素晴らしい表現に繋がり、創造の源となる。例えば『ロミオとジュリエット』もお互いが愛するが故に死なざるを得ない運命となる訳だが、『飛鳥』にも愛、嫉妬、悲劇と演劇的要素が全て入っており、人間が生きる縮図、運命が描かれている。本番のその日まで内面を掘り下げて、自分の想い、考えを舞台で現れるものにしたいし、私が日本の1000年前の1日をすがる乙女として生きたという思いで踊りたい」と語った。

ニーナ・アナニアシヴィリ

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【公演情報】
牧阿佐美バレヱ団『飛鳥 ASUKA』
10/28(土)開演時間未定 オーバード・ホール(富山市芸術文化ホール)

出演:ニーナ・アナニアシヴィリ(ジョージア国立バレエ団 芸術監督)
   ルスラン・スクヴォルツォフ(ボリショイ・バレエ プリンシパル)
   菊地研(牧阿佐美バレヱ団 プリンシパル) ほか、牧阿佐美バレヱ団
指揮:福田一雄
管弦楽:オーケストラ・アンサンブル金沢
一般発売:8/5(土)
料金:S席12,000円、A席10,000円、B席8,000円、C席5,000円、学生席2,000円

問:富山市民文化事業団076-445-5610
http://www.aubade.or.jp/