紀尾井午後の音楽会 花鳥風月 其の弐

邦楽と洋楽を一度に楽しむ贅沢

 本誌の読者なら、東京・四谷の紀尾井ホールはよくご存知だろう。何度もコンサートに出かけている人も多いはず。でも、同じ建物の5階にある小ホールを訪れたことがある人となると、ぐっと少なくなるのでは。客席数250席の紀尾井小ホールは、貴重な邦楽専用ホール。東京の邦楽コンサートの中心地のひとつとなっている。
 その紀尾井小ホールで、邦楽と洋楽のコラボレーションを楽しめるのが「紀尾井午後の音楽会」。昨年に続く4回シリーズの『花鳥風月』(其の弐)が、今年も4月から開催される。初回は「花」をテーマに、ヴァイオリンの篠崎史紀と長唄三味線方の今藤長龍郎を中心にした企画。邦楽と洋楽のコラボといっても、しかつめらしい現代音楽のそれとは違う。篠崎のヴァイオリンが、歌舞伎でも有名な、『勧進帳』で弁慶が舞う「延年の舞」に参加してしまうのだから、どんなセッションが生まれるのか興味津々。洋楽ファンにとっては、邦楽への入口としても好機だろう。前回シリーズで篠崎は袴着物姿で登場していたので、今回はどうするのかも楽しみのひとつ。入江一雄(ピアノ)、杵屋勝眞規(唄)、望月太津之(囃子)他の共演。
 シリーズのラインナップはこのあと、7月の『鳥』(カウンターテナー彌勒忠史、チェンバロ曽根麻矢子ほか)、10月の『風』(サクソフォン須川展也、マリンバ塚越慎子ほか)、18年1月の『月』(チェロ遠藤真理、ピアノ三浦友理枝ほか)と華やか。
文:宮本 明
(ぶらあぼ 2017年2月号から)

『花』4/3(月) 『鳥』7/5(水) 『風』10/4(水) 『月』2018.1/17(水)
各日13:30 紀尾井小ホール
問:紀尾井ホールチケットセンター03-3237-0061
http://www.kioi-hall.or.jp/