京都岡崎音楽祭『OKAZAKI LOOPS』〜駆け巡る

第一線のアーティストが提示する新しい形の“音楽祭”

 今年リニューアルオープンした「ロームシアター京都」がある岡崎地域には、様々な文化施設が集まっている。それらを“使い倒す”アートの祭典が『OKAZAKI LOOPS』である。ディレクターは、広上淳一(クラシック音楽)、高木正勝(音楽)、名和晃平(美術)、首藤康之(ダンス)、細尾真孝(伝統工芸)という各界からの錚々たる顔ぶれだ。
 特筆すべきは『LOOPSオープニング』。振付家・ダンサーである中村恩恵の構成・演出・出演で、首藤康之も出演する。中村と首藤はともに世界で活躍し、その豊かな世界観と、深い音楽への理解で共働も多い。さらに新国立劇場バレエ団からもダンサーが参加して、華々しく開幕を飾る。ピアノの福間洸太朗が共演するのも話題だ。
 ベルギーのダミアン・ジャレの新作『VESSEL』は、強力な磁場でねじ曲がったかのような身体造形が、固体と液体の境を超越する名和晃平の舞台美術と渾然一体となる。森山未來も出演する。
「『ALMA MUSIC BOX:死にゆく星の旋律』コンサート with 京都市交響楽団」も注目だ。「ALMA MUSIC BOX」は「史上最大規模の電波望遠鏡『アルマ』が受信した、星が死ぬ間際のデータ」を、音としてオルゴール盤に置き換えたアート作品。そのメロディをもとにミュージシャンが創った曲を、広上淳一指揮による京都市交響楽団が世界初演する。
 映画やCM音楽などで活動を展開する高木正勝は、アイヌなど多様な文化の音楽を融合させたコンサート『大山咲み(おおやまえみ)』を行う。
 このフェスの恐るべきところは、盛りだくさんの企画が、ほぼ2日間で行われることだ(9/2は前夜祭)。サブタイトルどおり「駆け巡る」こと必至の、忘れがたい経験になるだろう。
文:乗越たかお
(ぶらあぼ 2016年8月号から)

9/3(土)、9/4(日) ※9/2(金)(前夜祭)
ロームシアター京都、みやこめっせ、
京都国立近代美術館 他
問:OKAZAKI LOOPS 実行委員会事務局075-711-2980
※詳細は下記URLでご確認ください。
http://www.okazaki-loops.com