紀尾井シンフォニエッタ東京から紀尾井ホール室内管弦楽団へ

 紀尾井シンフォニエッタ東京が、2017年4月から「紀尾井ホール室内管弦楽団」に改称する。併せて首席指揮者にライナー・ホーネックを迎える。5月26日に都内で行った記者会見で発表した。会見には、町田龍一(新日鉄住金文化財団常務理事)、山口真一(同財団制作部長)、玉井菜採(紀尾井シンフォニエッタ東京 コンサートマスター)が出席した。
(2016.5.26 紀尾井ホール Photo:H.Yamada/Tokyo MDE)

 2015/16シーズンに紀尾井ホールとともに20年の節目を迎えた同団は、2017年4月からの新機軸のテーマとして「求心力」と「発信力」を掲げている。
 楽団の名称の変更について町田常務理事は「日本を代表するクラシック音楽ホールであり、『室内楽の殿堂』として国際的にも高い評価を得ている『紀尾井ホール』を冠することでレジデントオーケストラとして、ホールとの一体感や紀尾井ホールの求心力を打ち出していきたい」と語った。
 新しいロゴのデザインは、大野幸(建築家)の監修のもと、瓶子デザイン事務所がデザインを手がけ、「求心力」と一体感をあらわす球体を中心にして俯瞰した円弧は、ステージ上に配置されたオーケストラを象徴し、毛筆調のはらいには濃密で質の高い音楽を外に向かって放っていく「発信力」の意味を込めている。

 また音楽的な求心力として、これまで6回の共演を果たしたライナー・ホーネックを首席指揮者として迎える。任期は3年。1シーズン5回の定期演奏会のうち3公演を指揮する。
 就任にあたって、ライナー・ホーネックは、「大変嬉しく光栄に思っている。オーケストラの刷新の一端を担うことは喜びであるとともに大きな挑戦でもある。私ができることは35年にわたって演奏してきたウィーン・フィルでの経験を共有すること。長期的に特別で唯一の『紀尾井サウンド』を作っていきたい」とのメッセージを寄せた。
 コンサートマスターの玉井は、「以前からオーケストラの個性を育んでいく上で常任指揮者が必要との意見があった。メンバーから絶大な信頼と尊敬を集めているホーネックさんの名前が出たときは、この人しかいないという感覚だった。ご自身も演奏されることから、指揮者というよりも一緒に音楽を作ることができる“音楽家”。ホーネックさんを中心に新たな音質の変化、そして共に意見を交換できるような関係で、積極的な音楽表現をしていきたい」と述べた。
 また、これまでも楽団メンバーによる運営参画が行われてきたが、今後はさらに強化していく。楽団メンバーに若い世代を招き入れ、育成していく仕組みを整えていく方針だ。
 これまでシーズンの始めを9月としていたが、2017年より年度初めの4月をシーズン開始とする。「紀尾井シンフォニエッタ東京」としての演奏は6月17日・18日に行われる105回定期演奏会が最後となる。新体制としてのスタートの2017年4月までは、紀尾井シンフォニエッタ東京のメンバーが室内楽の演奏会を行い次のシーズンへつなげる。
 また、「紀尾井ホール室内管弦楽団」2017年度の定期演奏会プログラムも発表された。

紀尾井ホール
http://www.kioi-hall.or.jp