御喜美江(アコーディオン) アコーディオン・ワークス2016『春・新しい世界へ』

バッハとピアソラにときめく!

©Marco Borggreve
©Marco Borggreve

 クラシック・アコーディオンの世界的な名手として、深い芸術性を追求する中から、楽器自体のイメージをも覆した御喜美江。「この音楽なしに生きていけない」というバッハ、そして、「私の空気、水、光」と表現するピアソラ、彼女の代名詞とも言える2人の作曲家に焦点を当てたステージ「アコーディオン・ワークス2016『春・新しい世界へ』」に臨む。
 ドイツ・ハノーファー国立音大に学び、1973年から2年連続でクリンゲンタール国際アコーディオン・コンクールを制し、現在はフォルクヴァンク芸術大学の副学長を務めるなど、後進の育成にも尽力。今回は、ピアノの名匠ゲオルク・フリードリヒ・シェンクや、若い弦楽四重奏団「ディノカルテット」と共演する。
 前半では、バッハを特集。「アンナ・マグダレーナ・バッハの音楽帳」や「平均律クラヴィーア曲集」全2巻からの名曲をソロで披露するほか、アンサンブルと共に「ブランデンブルク協奏曲第3番」も。「バッハとの出会いがなかったら、クラシック音楽を本格的にやらなかったかもしれない。私にとって、バッハは決定的な存在だった」と御喜は語る。
 そして、後半では、かつて武満徹から紹介され、やがて夢中になったと言うピアソラの作品を。「ピアソラ音楽の心と私の心は、なぜかはよくわからないが、いつも繋がる」と御喜。バッハとの出会いと同じ感動を覚えたという「バチンの少年」をはじめ、「セーヌ川」「最後の嘆き」などをソロ、さらにアンサンブルと共に傑作「バンドネオン協奏曲」に挑む。
文:寺西 肇
(ぶらあぼ + Danza inside 2016年2月号から)

3/19(土)14:00 浜離宮朝日ホール
問:クリスタル・アーツ03-6434-7997
http://www.crystalarts.jp