『CHESS THE MUSICAL』

ミュージカル版で繰り広げるスリリングなドラマ

左より:安蘭けい/石井一孝/田代万里生/中川晃教
左より:安蘭けい/石井一孝/田代万里生/中川晃教
 ミュージカル『CHESS』が、2度のコンサート形式での上演を経て、舞台版として日本初演される。1970年代、「ダンシング・クイーン」などで一世を風靡したスウェーデンのポップスグループABBAのベニー・アンダーソンとビョルン・ウルヴァースが作曲、『エビータ』『ジーザス・クライスト・スーパースター』のティム・ライスが原案・作詞を担当し、86年にロンドンで開幕したミュージカルだ。
 物語の舞台は、米ソ冷戦時代のチェスの試合。イタリアでチェスの世界選手権が開かれ、世界チャンピオンであるアメリカの選手フレディは、ソ連の選手アナトリーと対戦するはずだったが放棄し、アナトリーが不戦勝に。アナトリーはフレディのセコンドを務めるフローレンスと恋に落ち、亡命する。翌年、再び世界選手権がタイで開かれ、チャンピオンとしてフローレンスを伴って出場したアナトリーの前に、テレビのコメンテーターとなったフレディ、アナトリーがソ連に残してきた妻スヴェトラーナが現れ、さらにKGB、CIAの影もちらつき…。表ではチェスの試合、裏では別の駆け引きが、スリリングに展開する。
 フレディ役を演じるのは、輝きと情熱あふれる歌声で、聴く者の心をとらえて離さない中川晃教。アナトリー役には、豊富なミュージカル経験と音楽へ深い造詣を誇る石井一孝。フローレンス役は、圧倒的な存在感・歌声で高い評価を得ている安蘭けい。審判アービター役は、確かな歌唱力と瑞々しい演技力が光る田代万里生。中川、安蘭、石井は過去2回のコンサートにも出演している。
 陰影に富み、ドラマティックな『CHESS』の音楽と物語。必見・必聴の舞台となりそうだ。
文:高橋彩子
(ぶらあぼ + Danza inside 2015年9月号から)

9/27(日)〜10/12(月) 東京芸術劇場 プレイハウス
10/19(月)〜10/25(日) 梅田芸術劇場 シアター・ドラマシティ
問:梅田芸術劇場0570-077-039(東京) 06-6377-3888(大阪)
http://www.chess-musical.jp