Hakuju Hall 第16回 ワンダフル one アワー デジュー・ラーンキ(ピアノ)

気高い境地を身近に堪能する1時間

デジュー・ラーンキ ©Andrea Felvegi
デジュー・ラーンキ ©Andrea Felvegi
 “ハンガリー三羽烏”…かつて一世を風靡したこのフレーズは、今なお消え去っていない。だが三羽烏=シフ、コチシュ、ラーンキは、それぞれ違った道を歩んできた。そして、繊細で陰影に富んだ“インティメイト”な音楽性を持つピアニストとして成長を遂げたのが、デジュー・ラーンキだ。シューマン国際コンクールで優勝後、メータ、マゼールやベルリン・フィル等と共演し、アイドル的な人気をも得た彼だが、精妙かつ誠実な近年の演奏は、「瑞々しい自然体の優美さ」と評された2010年の久々のリサイタル・ツアー、12年の4手・2台ピアノ、13年の上岡敏之&読響とのブラームスの協奏曲などの名演によって、日本でも再評価されている。そうした中、彼は7月にHakuju Hallでリサイタルを行う。そこは300席のまさにインティメイトな空間。ゆえに現在の彼の魅力が最大限に発揮されるのは間違いない。ベートーヴェンのソナタ第16番とショパンの「24の前奏曲」も、身近で聴けばより本質を味わえる選曲。還暦を超えて至高の境地に達したその音楽を、今ここで生体験したい。
文:柴田克彦
(ぶらあぼ + Danza inside 2015年6月号から)

7/8(水)15:00 19:30 Hakuju Hall
問 Hakuju Hallチケットセンター03-5478-8700
http://www.hakujuhall.jp