マリオ・デル・モナコ&レナータ・テバルディ 記念ガラ・コンサート

2大オペラ歌手へのオマージュ


 テノールのマリオ・デル・モナコとソプラノのレナータ・テバルディといえば、言わずと知れた往年のイタリア・オペラ黄金時代を象徴する存在。1961年にNHKが招聘した(第3次)イタリア歌劇団の《アンドレア・シェニエ》公演での共演は“伝説”として語り継がれ、名門DECCAレーベルにこの黄金コンビによって残された数々のオペラ全曲録音は今なお名盤として色褪せない魅力を放ち続けている。
 デル・モナコの生誕100周年にあたる今年(テバルディは昨年、没後10周年)、この偉大なる先達へのオマージュとして、国内外で活躍中の日本のオペラ界を担う名歌手たちが、二人に縁のあるレパートリーを中心に歌声を披露するガラ・コンサートが開催される。主催は昨年10月に設立された「杉並リリカ」。主な出演者には、今年4月に行われた南イタリアの音楽祭で《蝶々夫人》(※テバルディの当たり役)のタイトルロールを演じた小林厚子と野田ヒロ子を始め、12月に藤原歌劇団の《仮面舞踏会》公演にアメーリア役(※同)で出演予定の山口安紀子、二期会で活躍する大隈智佳子ら実力派がずらり。男性陣にも強靱で劇的な表現力に富んだデル・モナコのテノール魂を継ぐ笛田博昭や、「杉並リリカ」代表で、テノール評伝記『失われた声を求めて』(DU BOOKS刊)の著者でもある酒井章(フランコ酒井)のお墨付きを得た及川尚志らが結集。ピアノは、歌手との共演を得意とする藤原藍子が務める。初心者も大歓迎なリーズナブルな価格設定で、極上の声の芸術にふれる絶好の機会だ。
文:東端哲也
(ぶらあぼ + Danza inside 2015年7月号から)

7/19(日)19:00 杉並公会堂
問:杉並リリカ 酒井080-3595-0408