河村尚子(ピアノ) 日本デビュー10周年記念公演

新たなる飛翔を告げるリサイタル

©Hirofumi Isaka
©Hirofumi Isaka

 豊かな感性により、あたかも深い遠近法を用いるように音楽を紡ぐ河村尚子。2004年11月に小林研一郎指揮の東京フィル定期演奏会でショパンのピアノ協奏曲第2番を弾いた日本デビューから、早いものでもう10年。5歳から暮らしているドイツを拠点に活動しつつ、ソロ、協奏曲、室内楽、そしてレコーディングと、国内でもその足取りを順調に示してくれているのはうれしいかぎり。3月に10周年記念リサイタルを行う。
 プログラムは、彼女のコンサートに通うファンならおなじみであろうブゾーニ編曲のJ.S.バッハから「シャコンヌ」、国内デビュー盤以来CDでも繰り返し取り上げている代表的なレパートリーのショパンからは「マズルカ第13番」「ワルツ第5番」「ノクターン第8番」「舟歌」とたっぷり。さらに、昨秋リリースした10周年記念のオール・ラフマニノフアルバムで協奏曲のカップリングとしても収められ、豊かな表現が魅力的だった「前奏曲op.23 第10番」と、今回新たに「同第7番」も披露。2011年に他界した恩師ウラディーミル・クライネフが愛したレパートリーでもあるプロコフィエフの第6番「戦争ソナタ」と、ロシア音楽も並ぶ。まさにこれまでの彼女の歩みを振り返りつつ、その着実な成果の集積である現在を再確認するような選曲だ。次の新たな10年へ踏み出す彼女の一歩を、ぜひ会場で共有したい。なお東京の2日後には京都でも同プログラムを弾く。
文:宮本 明
(ぶらあぼ + Danza inside 2015年3月号から)

3/13(金)19:00 東京オペラシティコンサートホール
問:ジャパン・アーツぴあ03-5774-3040 
http://www.japanarts.co.jp

他公演
3/15(日)京都コンサートホール(小)
問:京都ミューズ075-441-1567