sonorium 共催シリーズ2015『映像と音楽』

今までになかった“新しい演奏会”を体験

 東京・永福町の閑静な住宅街の一角にあるsonoriumは、理想的な音響、モダンな建築美と温かな雰囲気を同時に兼ね備えた小ホール。その白壁に美しい映像を投影し、質の高い演奏と共に楽しむシリーズ『映像と音楽』は、今までになかった“新しい演奏会”として、大きな反響を呼んでいる。
 6年目となる今回は、ヴァイオリニストの加藤惠理と小林玉紀によるデュオ・ロズヴィーの『音絵本 Vol.2』で幕開け。たちもとみちこ作「アニーのちいさな汽車」や寺田順三作「タビの雑貨屋」など子供たちに人気の4つの物語を、ピアニストとしても参加する新垣隆の作曲によるオリジナル曲と、飯原道代の語りを交えて愉しみ、絵本の“新しいカタチ”を目指す。
 リサイタルなど自在な活動を続ける加藤と、NHK交響楽団員の小林は、ポーランド語で「発展」を意味するグループ名を冠し、4年前からデュオ活動。そして、一連の騒動のさなかにも、音楽への熱い愛情を隠すことなく吐露していた新垣。彼が本当に書きたかった音楽が、ここにある。紡ぎ上げられた優しい調べの数々は、飯原の言葉や、ステージで併せて演奏されるクライスラーやベリオら先人の旋律とも、豊かに共鳴してゆく。
 シリーズではこのほか、『ソロプロジェクト10周年記念 キリロラ☆螺旋上昇の宴』(3/21)や『ブラジル VS 日本 熱き音の競演』(4/12)、『SARUME〜天岩戸 AMA no IWATO〜』(5/23)、『静寂の音 vol.5 音の季節』(6/6)、『カンテレ&パーカッションコンサート』(6/14)、『SNG Style Music〜Beyond the Universe〜』(7/18)、『Tokyo Play Opera オペラと歌曲で綴る愛』(7/25)と、邦楽、南米や北欧の現代音楽を含め、全8公演がシリーズ期間の7月末まで行われる。
文:笹田和人
(ぶらあぼ + Danza inside 2015年3月号から)

音絵本 Vol.2
2/28(土)14:00 18:30 sonorium
問:Klangmalerei03-6314-5795(FAX)
シリーズの詳細は下記ウェブサイトでご確認ください。
http://www.sonorium.jp/concert