クリスティアン・ティーレマン(指揮) ドレスデン国立歌劇場管弦楽団

新たな黄金期に艶めく“いぶし銀”の響き


 ドイツ人シェフ&ドイツ伝統のオーケストラの組み合わせは今や数少ない。トップ楽団の中では随一の存在ともいえるティーレマン&ドレスデン国立歌劇場管が3年ぶりに来日公演を行う。これは現在の伝統の在り処を知る絶好機だ。
 ティーレマンは、ウィーン・フィルがベートーヴェン・ツィクルスを託し、バイロイト音楽祭が中心的役割を委ねている独襖王道の継承者。ドレスデン国立歌劇場管も、ワーグナー、R.シュトラウス等と緊密な関係を築いてきた超名門楽団であり、極上の肌触りで渋い光沢を放つサウンドへの支持は厚い。2012年に首席指揮者に就任したティーレマンとのコンビは欧米を席巻。2013年以降ベルリン・フィルから引き継いだザルツブルク・イースター音楽祭でも大成功を収めているだけに、今回への期待はいやが応にも増す。
 プログラムも意欲的だ。まず、ツアー演目として演奏されるのが稀なR.シュトラウス「メタモルフォーゼン」とブルックナーの交響曲第9番の“至高の最晩年プログラム”(2/22,2/24)。弦楽器23人のソロが融合する「メタモルフォーゼン」を、あの柔らかな弦楽群で聴くのは、忘れられない体験となるだろう。ブルックナーはティーレマンの十八番。重厚かつピュアな第9番では、真打ち的名演が待つ。もう1つのプログラムは、これも生演奏が貴重なリスト「オルフェウス」、ワーグナー「ジークフリート牧歌」にR.シュトラウス「英雄の生涯」(2/23)。抒情的で精緻な前半2曲では名楽団の個の妙技、指揮者&楽団双方の極め付け「英雄の生涯」ではドイツ管弦楽の究極を堪能できること間違いない。
 就任直後の前回公演から3年、両者が築いてきた新時代の真価が、ここで聴ける!
文:柴田克彦
(ぶらあぼ + Danza inside 2015年2月号から)

2/22(日)14:00 横浜みなとみらいホール
2/23(月)19:00、2/24(火)19:00 サントリーホール
問:ジャパン・アーツぴあ03-5774-3040 
http://www.japanarts.co.jp