小澤征爾音楽塾オペラ・プロジェクトⅩⅢ ラヴェル 歌劇《子どもと魔法》

小澤が繰り広げるファンタジックな世界

 若手音楽家を一流演奏家がコーチして、熟練のスタッフたちと大舞台を作り上げる小澤征爾音楽塾。2000年から始動したオペラ・プロジェクトも13回目となる。今年はファンタジックで色彩感満点の《子どもと魔法》(ラヴェル)だ。
 音楽塾は前回からオペラ・ドラマティコという形式を採用している。演奏会形式とは違い、歌手は演技し、簡潔な舞台装置も付く。オペラの形を残したまま、オーケストラと客席を近くしてより臨場感を生もうという趣向だ。このところ指揮回数が増えてきた小澤は、以前にも増してカリスマ的なパワーで凄演を聴かせている。一昨年には《子どもと魔法》を振ってサイトウ・キネン・フェスティバルでも好評を博しているだけに、可能性を秘めた若者たちが小澤のオーラにどんな反応を見せるかが見所になりそうだ。独特な上演形式と相まって、彼らの生々しい息遣いがダイレクトに伝わってくるのではないか。
 演出は音楽塾の舞台を数多く手掛けてきたデイヴィッド・ニースが今年も担当する。歌唱陣はアメリカで急速に人気を集めているメゾ、エミリー・フォンズ(子ども役)をはじめ若手実力派を中心に、ジャン=ポール・フーシェクール(小さな老人他役)らヴェテラン勢をバランスよく配置している。
 今回、もう一つ大きな話題を呼びそうなのがナタリー・シュトゥッツマン指揮によるベートーヴェンの交響曲第2番だ。コントラルト歌手として世界的な名声を博すシュトゥッツマンは、すでに「復活」(マーラー)で音楽塾とも共演しているが、今回はタクトを持っての参加となる。
文:江藤光紀
(ぶらあぼ + Danza inside 2015年2月号から)

3/15(日)15:00 よこすか芸術劇場 
3/21(土・祝)15:00 びわ湖ホール
3/24(火)19:00 東京文化会館 
3/28(土)15:00 愛知県芸術劇場大ホール 
1/17(土)発売 
※チケット発売情報含む詳細は下記ウェブサイトでご確認ください。

http://www.ongaku-juku.com

■関連記事
小澤征爾音楽塾が子どものためのオペラを上演、京都市内の小学生を招待
ロームシアター京都(京都会館)がオープニング事業主要ラインアップを発表