ヴォーチェ弦楽四重奏団

パリ発、気鋭の4人組のサウンドに酔う

©Sophie Pawlak
©Sophie Pawlak

 メンバーの全員がパリ国立高等音楽院の卒業生で結成されたヴォーチェ弦楽四重奏団が、今年で結成10周年を迎えた。2008年と10年の来日公演では卓越したハーモニーが大きく評価された彼らの3度目の来日公演が行われる。
 ヴォーチェSQは2006年のジュネーヴ国際音楽コンクール最高位で入賞した後も、ボルドー、グラーツ、ロンドンなどで入賞や特別賞の受賞を果たしている。しかし今やコンクールでの快挙を連ねるまでもなく、フランス内外の音楽祭やコンサート会場で着々と地盤を固めている。公演回数は年間80回を下らないという。
 先だってヴァイオリンのサラ・ダイヤンに話をきいた。
「2013/14シーズンにパリのシテ・デ・ラ・ムジクより推薦されてヨーロッパ・コンサート・ホール協会の“ライジング・スター”に選ばれたのは大変に名誉なことと思っています。アムステルダムのコンセルトヘボウ、ウィーンのコンツェルトハウスなど、欧州20ヵ所の主要ホールで演奏する機会を得ました。昨年9月には、若い音楽家の登竜門ともいえるベルリン・フィルハーモニーの室内楽ホールで、日本ツアーのプログラムにも含まれるシューベルトの『第15番』とフランクの『ピアノ五重奏曲』を演奏しました」
 この演奏会は“アンサンブル能力、豊かな音色のパレット、フル・オーケストラが目の前で弾いているような錯覚すら覚え、木管楽器、金管楽器まで聴こえてくるようだ”と高い評価を得た。
 今回の来日ツアーではモーツァルトの第19番「不協和音」と、ベートーヴェン2曲など多様なプログラムを組んだ。
「モーツァルトは我々にとってとても重要で、近々フルート四重奏曲を録音する予定があります。ヤナーチェク『内緒の手紙』は様々な楽器に違う役目を与えるので選びました。ベートーヴェンは、ここ数年何度も演奏している『ラズモフスキー第2番』も取り上げます。これはすでに録音も済んでいます」
 そして独奏者を迎えての五重奏曲も用意されている。
 「フランクとドヴォルザークの『ピアノ五重奏曲』は、萩原麻未さんと共演します。萩原さんとは5年前にジュネーヴで出会い、歌うような演奏に惹かれて意気投合したのです。初めて共演するドヴォルザークも楽しみです」
 さらにブラームスのクラリネット五重奏曲では、パリ国立高等音楽院の先輩にあたる横川晴児と共演。こちらも聴きものだ。
取材・文:秋島百合子
(ぶらあぼ + Danza inside 2014年12月号から)

共演:萩原麻未(ピアノ)
11/29(土)はつかいち文化ホールさくらぴあ
11/30(日)つくばノバホール
12/3(水)あいおいニッセイ同和損保ザ・フェニックスホール
12/5(金)紀尾井ホール
12/7(日)iichiko総合文化センター

共演:横川晴児(クラリネット)
12/2(火)習志野文化ホール

他公演 
11/23(日・祝)藤野芸術の家
11/24(月・休)武蔵野市民文化会館
12/8(月)サルビアホール
12/9(火)王子ホール
問:テレビマンユニオン03-6418-8617 
http://www.tvu.co.jp/music