前橋汀子カルテット

カルテットで聴く前橋汀子の新境地


 わが国を代表するヴァイオリニストの1人として第一線を走り続け、一昨年には演奏活動50周年の節目を迎えた前橋汀子。名器グァルネリ・デル・ジェスで優雅で円熟味あるプレイ・スタイルを、なおも深化させ続けている。そんな彼女が、同じヴァイオリンの久保田巧、ヴィオラの川本嘉子、チェロの原田禎夫という国際的な檜舞台で活躍を続ける気心の知れた仲間たちと共に、自身の音楽人生で初となる弦楽四重奏団「前橋汀子カルテット」を結成。豪華な顔ぶれだけに、大きな話題に。
 そんな彼らが、よみうり大手町ホールのステージに早くも登場。ベートーヴェンの弦楽四重奏曲から、第4番と「ラズモフスキー第2番」こと第8番、そして最後の作品である第16番と、特に個性的な3曲をセレクトし、ひとつの小宇宙とでも言うべき佳品群の“おいしいところ”を聴かせる。今年春にオープンしたばかりの約500席のホールは、豊潤な響きに恵まれ、室内楽を愉しむには絶好の場所。至福の時間を堪能したい。
文:笹田和人
(ぶらあぼ + Danza inside 2014年9月号から)

11/21(金)19:00 よみうり大手町ホール
問:読売新聞東京本社ホール企画部03-6739-5838
http://yomi.otemachi-hall.com