パーヴォ・ヤルヴィ(指揮) ドイツ・カンマー・フィルハーモニー管弦楽団 

ブラームス・シンフォニック・クロノロジー 〜いよいよロマン派の王道へ〜

  パーヴォ・ヤルヴィとドイツ・カンマー・フィルが東京オペラシティに帰ってくる! パーヴォが同団の芸術監督に就任して10年。まずベートーヴェン・ツィクルス、続いてシューマン・ツィクルスと、彼らの放つ鮮烈なプロジェクトは大きなセンセーションを巻き起こしてきた。「ピリオドといえば古典派まで」というイメージを打ち破り、モダン・オーケストラにピリオド奏法を応用しロマン派の世界へと踏み込んで、聴きなじんだ名曲の思いがけない一面を明らかにする。それも学術的な再現ではなく、21世紀の耳を納得させる極上のエンターテインメントとして。それは「演奏は進化しうる」ということを私たちに身をもって示した出来事だったようにも思う。
 さて、彼らの旅路もとうとうロマン派の“本丸”にたどり着いた。『ブラームス・シンフォニック・クロノロジー』は4曲の交響曲だけでなく、主要管弦楽曲や協奏曲を彼らのスタイルで一挙丸ごと味わってしまおうという、これまでにも増して大胆な企画である。12月10日から全4回のツィクルスは創作の時系列も押さえており、ブラームスの心境の深まりをも描き出そうという野心が感じられる。2曲のピアノ協奏曲を弾くのはラルス・フォークト(12/10,12/13)。すっきりとした造形美は彼らのサウンドとも相性が良さそうだ。ヴァイオリン協奏曲では近年一層鋭角的な音作りをするクリスティアン・テツラフ(12/11,12/14)が、ドイツ・カンマー・フィルとどのような化学反応を起こすか。ヴァイオリンとチェロの二重協奏曲では同団首席チェロのターニャ・テツラフ(12/14)が加わり、極めて珍しい兄妹競演が実現する。
文:江藤光紀
(ぶらあぼ + Danza inside 2014年11月号から)

12/10(水)19:00 ピアノ協奏曲第1番,交響曲第1番
12/11(木)19:00 ヴァイオリン協奏曲,交響曲第2番 他
12/13(土)15:00 ピアノ協奏曲第2番,交響曲第3番 他
12/14(日)15:00 ヴァイオリンとチェロのための二重協奏曲,交響曲第4番 他
東京オペラシティ コンサートホール
問:東京オペラシティチケットセンター03-5353-9999 
http://www.operacity.jp