イデビアン・クルー『図案』

クセになる井手の世界観

 あまりにも独特でキテレツで、しかしどうにも愛さないではいられない振付・演出家の井手茂太。芝居など他分野でも引っ張りだこの人気者である。その井手が率いるダンスカンパニー、イデビアン・クルー新作公演のタイトルは『図案』。『図案』て! 毎回タイトルにはセンスが光るが、今回も健在だ。
 作品は「劇場自体が持つ空間を全面に出したシンプルな舞台」ということで、美術よりもダンスとダンサーの身体勝負になりそうな様相を呈している。それも単純にうまいとか超絶技巧というものではなく、何か気になる、ちょっと自分でもやってみたくなる、優しくそして深いダンスの世界への感覚が堪能できるだろう。
 今回は大きなひとつの作品というわけではなく、オムニバス形式になるという。魅力的な動きを創ることにかけては無類の才能を発揮する井手の持ち味が最大限に活かされた舞台になりそうだ。
文:乗越たかお
(ぶらあぼ + Danza inside 2014年10月号から)

『麻痺 引き出し 嫉妬』2013年 (C)MarieNosaka
『麻痺 引き出し 嫉妬』2013年 (C)MarieNosaka

10/10(金)〜10/12(日) 世田谷パブリックシアター
問:世田谷パブリックシアターチケットセンター03-5432-1515 
http://setagaya-pt.jp