東京二期会《イドメネオ》稽古場レポート vol.4

 9月12日から新国立劇場で上演される、東京二期会&アン・デア・ウィーン劇場共同制作、オペラ《イドメネオ》の稽古。
 この日は第3幕のフィナーレを重点的に稽古しました。
 稽古はいつも与儀巧組、又吉秀樹組とでそれぞれの場面を交互に行いますが、この日は混合チームで行ったため、本番では実現しない組み合わせの稽古もあり興味深いものでした!
(2014.8.21 都内練習所。 Photo:M.Terashi/TokyoMDE ※写真はクリックすると拡大します)


こちらは稽古場の全景です。実際の舞台とまったく同じセットが組み上げられています。
 

 

 

 

 


舞台装置、小道具、衣裳などはすべて、ウィーンから運ばれたもの。
オレンジ色の救命胴衣のようなものは、第1幕、イドメネオが凱旋の途上嵐に巻き込まれるシーンで合唱が着ているもの。アン・デア・ウィーン劇場でのイリア役Sophie Karthäuserさんの名札が付いた衣裳も・・・
 

 

 

 

 

 

 


《イドメネオ》は、オペラの題材としては重い部類に入りますが、いつも明るい雰囲気で稽古が始まります。歌手達とスタッフとの意思の疎通がうまくとれているからですね。
まずは、フィナーレ、イドメネオ、イダマンテ、イリア、エレットラ、アルバーチェと主な登場人物が勢揃いする場面の立ち位置などをチェック。
 

 

 

 


その後、エレットラ(大隅智佳子)のアリアの場面の演技指導。フィナーレの大事な場面とあって、演出補のエレオノーラ・グラヴァニョーラさんの演技指導にも力が入ります。
 

 

 

 

 


エレットラの動きを演出ノートやスコアと照らし合わせながら綿密に打ち合わせ。もうひとりのエレットラ(田崎尚美)も真剣な眼差しで稽古を見つめます。
 

 

 

 

 


 

 

 

 

 

 


イリアの二人(左:新垣有希子、右:経塚果林)もスコア片手に意見交換
 

 

 

 

 

 

【第3幕第9場】

イダマンテ(小林由佳)「父上、私の愛する父上・・・」
イダマンテを生贄にすることを告白したイドメネオでしたが、イダマンテはそれでも自分は幸せだと語るシーンです。
 

 

 

 

 

 

 

 


イダマンテの自分への愛を再確認したイドメネオ(又吉秀樹)は「無実の息子に斧を振り上げることはできない」と運命を呪います。
と、そこにエレットラ(田崎尚美)が斧を投げ入れます。
 

 

 

 

 


覚悟を決めたイダマンテ(小林由佳)は、イリア(経塚果林)を見つめ、そして、熱いキスを交わします。
ここでは音楽も休止、「永遠の無」を思わせるような音のない長い時間が続きます。
 

 

 

 

 


イダマンテ(小林由佳)が横になり、イドメネオ(与儀巧)が斧を振り下ろそうとしたその時、イリア(新垣有希子)がそれを阻止します。
 

 

 

 

 

【第3幕第10場】

イリア(経塚果林)「生贄は私です。イダマンテは無実・・・」
 

 

 

 

 

 


イリア(新垣有希子)にイダマンテ(小林由佳)が駆け寄ります。
 

 

 

 

 

 


イダマンテ(小林由佳)「イリア、あなたはあまりにも健気すぎます」
イリア(経塚果林)「愛があなたを救ってくれるの・・・」
 

 

 

 

 


その背後ではエレットラ(田崎尚美)が斧を振り上げようとしますが、イドメネオ(又吉秀樹)が阻止します。
イドメネオ「そなたは生贄ではない」
 

 

 

 

 


そこに、天の声が聞こえてきます
声「愛の神が勝った。イドメネオはイダマンテに王位を譲り、そして、イダマンテはイリアを妃にするのだ」
 

 

 

 

 


イリア(新垣有希子)とイダマンテ(小林由佳)は抱き合って喜びます。
 

 

 

 

 

 


しかし、エレットラ(大隅智佳子)は怒りに燃えます。
エレットラ「永遠の苦しみに気が狂いそうだ・・・」
 

 

 

 

 


狂乱するエレットラ(田崎尚美)の独白は、およそ7分にも及ぶ、第3幕のクライマックス。
怒り狂い、舞台狭しと駆け回り、あげく死に至る・・・壮絶な演技です!
 

 

 

 

 


イドメネオ(与儀巧)、イダマンテ、イリア、アルバーチェ(北嶋信也)が身じろぎせず舞台前方に佇むなか、ひとり、エレットラ(大隅智佳子)の狂乱がさらに浮き彫りになります。
 

 

 

 

 

【第3幕最終場】

イドメネオ(与儀巧)からイダマンテ(小林由佳)へ、王位継承です。
 

 

 

 

 

 


フィナーレでの動きについてダメ出し
 

 

 

 

 

 

もともとの台本ではここでお芝居は終わり。
でも、ミキエレットの演出ではそうではありません。
さあ!どういう結末を迎えるのか???


【第3幕最終場、合唱のあとのシーン】

指揮、ピアノの周りに歌手、スタッフが集まり、最後のシーンの打ち合わせ。
ミキエレットによるこの場面の演出は(当日までのお楽しみにしておきましょう!)、より音楽と一体となったリアルな動きが要求されるため、スコアを確認しながらの作業です。
 

 

 


 

 

 

 

 

 

まもなく、マエストロ 準・メルクルさんも合流しての稽古が始まります。
いよいよ上演まであと18日!
ぶらあぼでは、マエストロ稽古も含め、さらに徹底取材します!
お楽しみに。

◆ウィーン・オリジナル・プロダクション《アン・デア・ウィーン劇場との共同制作》
東京二期会オペラ劇場 

オペラ《イドメネオ》全3幕
日本語字幕付き原語(イタリア語)上演

2014年9月12日(金) 15:00 13日(土) 15:00 14日(日) 13:00 15日(月・祝) 13:00
新国立劇場 オペラパレス
上演予定時間:約3時間30分(休憩1回を含む)

■指揮: 準・メルクル
■演出: ダミアーノ・ミキエレット

■キャスト
●9月12日(金)/14日(日)
与儀巧 / 山下牧子 / 新垣有希子 / 大隅智佳子 / 大川信之 / 羽山晃生 / 倉本晋児
●9月13日(土)/15日(月・祝)
又吉秀樹 / 小林由佳 / 経塚果林 / 田崎尚美 / 北嶋信也 / 新津耕平 / 倉本晋児

合唱:二期会合唱団
管弦楽:東京交響楽団

■チケット
S18,000円 A14,000円 B10,000円 C8,000円 D5,000円 学生 2,000円
※学生席は二期会チケットセンター電話のみの取扱い

■問
二期会チケットセンター 03-3796-1831 
東京二期会オペラ劇場 http://www.nikikai.net/

◆関連記事
●東京二期会《イドメネオ》稽古場レポート vol.1
https://ebravo.jp/archives/11875

●東京二期会《イドメネオ》稽古場レポート vol.2
https://ebravo.jp/archives/12090

●東京二期会《イドメネオ》稽古場レポート vol.3
https://ebravo.jp/archives/12259

●準・メルクル インタビュー
https://ebravo.jp/archives/11944

●東京二期会 ミキエレットの演出コンセプト~第1幕~
「『イドメネオ』は、〈愛〉と〈生命〉の発展です」
http://www.nikikai21.net/blog/2014/08/1_1.html

●東京二期会 ミキエレットの演出コンセプト~第2幕~
大切なのは、自分たちの人間性、人間としての真実を伝えること
http://www.nikikai21.net/blog/2014/08/2_10.html