ストラディヴァリウスの響き レイ・チェン×石坂団十郎×江口玲

名器で名演を聴く

 2014年春にオープンすることで話題の「よみうり大手町ホール」。501席の真新しく親密な空間に名器ストラディヴァリウスの優美で艶やかな音色が響き渡る。そんな贅沢な夕べが当公演だ。出演はレイ・チェン(ヴァイオリン)と石坂団十郎(チェロ)の若手実力派2人。12年にサントリーホールで行われた《ストラディヴァリウス・コンサート》で、この名器との抜群の相性を披露したことも記憶に新しい。また、彼らを支えるピアニストを、室内楽の名手で、両者と共演機会の多い江口玲が務めるのも心強い。
 プログラムは3つの楽器の組み合わせをすべて楽しめる5曲構成。チェン&江口のサン=サーンス「序奏とロンド・カプリチオーソ」、石坂&江口によるレスピーギ「アダージョと変奏」、チェン&石坂によるオネゲル「ソナチネ」&ヘンデル(ハルヴォルセン編)「パッサカリア」と続き、最後は3人が一堂に会したチャイコフスキー「偉大な芸術家の思い出に」の重厚な丁々発止のやりとりで結ばれる。最大の聴きどころはやはり大曲のチャイコフスキーだが、チェンと石坂が瑞々しく掛け合うデュオ2曲にもぜひご注目を。生の演奏機会が少ないことに加え、この2人ならばこれらの作品の魅力を最良の形で聴かせてくれるはずだ。
 なお関連企画として、チェンと石坂がそれぞれ読売日本交響楽団とチャイコフスキーの協奏曲を演奏する公演がサントリーホールで行われるので、そちらも楽しみだ。
文:渡辺謙太郎
(ぶらあぼ2014年1月号から)

レイ・チェン×石坂団十郎×江口玲
★2014年6月24日(火)・よみうり大手町ホール Lコード:37867
レイ・チェン/石坂団十郎 with 読響
★6月25日(水)・サントリーホール Lコード:38402
問:読売新聞東京本社文化事業部03-3216-8500
http://yomi.otemachi-hall.com