ヤクブ・フルシャ(指揮) 東京都交響楽団

俊英が繰り出す鮮烈なサウンド

 都響とともに快進撃を続ける首席客演指揮者ヤクブ・フルシャ。フルシャと都響のコンビはそれだけで大きな期待を抱かせるが、6月の定期演奏会ではそこにピアノのピョートル・アンデルシェフスキが加わるのだから、聴き逃すわけにはいかない。
 プログラムはいずれも20世紀前半に作曲された3曲からなる。オネゲルの交響的楽章第1番「パシフィック231」は、蒸気機関車が発車してから停車するまでの運動を描写的に表現した作品。ぜひライヴでそのダイナミズムを体験したい名曲だ。
 アンデルシェフスキが独奏を務めるのはバルトークのピアノ協奏曲第3番。これまで日本で弾いてきたレパートリーを考えるとやや意外な選曲のようにも思うが、ハンガリー人とポーランド人の両親を持つアンデルシェフスキにとって、バルトークは身近な作曲家であって不思議はない。鋭利なモダニズム一辺倒ではない、アンデルシェフスキならではの詩情豊かなバルトークを聴けそうだ。
 そしてメイン・プログラムはストラヴィンスキーのバレエ音楽「春の祭典」。五管編成の大オーケストラが咆哮する。管弦楽の機能性が最大限に生かされる曲だけに、フルシャと都響の現在を聴くにあたってこれほどふさわしい作品もないだろう。切れ味鋭いリズム、複雑な変拍子がもたらす躍動感、鮮烈なオーケストレーションといった作品の魅力を存分に伝えてくれるにちがいない。
文:飯尾洋一
(ぶらあぼ2014年5月号から)

第772回定期演奏会Bシリーズ ★6月24日(火)・サントリーホール Lコード:33189
第773回定期演奏会Aシリーズ ★6月25日(水)・東京芸術劇場 Lコード:33190
問:都響ガイド03-3822-0727 
http://www.tmso.or.jp