ドミンゴ・インドヤン(指揮) 新日本フィルハーモニー交響楽団

「エル・システマ」育ちのライジングスター

 グスターボ・ドゥダメルをはじめとして、南米ベネズエラの音楽教育プログラム「エル・システマ」から次々と新しい才能が現れ、音楽界におけるベネズエラの存在感が急激に高まっているのを感じる。その「エル・システマ」育ちのライジングスターの一人であるドミンゴ・インドヤンが、2012年10月に次いで、この6月に新日本フィルを指揮する。
 インドヤンはベネズエラのカラカス生まれで、シリア人とアルメニア人の家系の出身。ウェスト=イースタン・ディヴァン管弦楽団ではヴァイオリン奏者を務めた。数々の指揮者コンクールで入賞を果たし、すでにロンドン・フィルやスイス・ロマンド管弦楽団、フィルハーモニア管弦楽団他を指揮、2013年からはベルリン国立歌劇場でダニエル・バレンボイムの第1アシスタントに任命されている。日本ではパシフィック・ミュージック・フェスティバルの客演指揮者を務めたほか、2012年の新日本フィル定期演奏会では急病のハウシルトに代わって指揮台に立って注目を集めた。
 今回インドヤンが指揮するのは、モーツァルトの《フィガロの結婚》序曲と交響曲第38番「プラハ」、そしてシューマン
の交響曲第3番「ライン」。指揮者のキャラクターがよく伝わる選曲といえるだろう。名曲シリーズ『新・クラシックへの扉』として組まれた公演なので、初心者にも足を運びやすい選曲と価格設定となっている。すみだトリフォニーホールに清新な風が吹く。
文:飯尾洋一
(ぶらあぼ2014年6月号から)

#38 新・クラシックへの扉
★6月13日(金)、14日(土)・すみだトリフォニーホール Lコード:37438
問:新日本フィル・チケットボックス03-5610-3815 
http://www.njp.or.jp